【解説4】ジィージの説教

腹が立ったら、ここを読めッ。
 離婚はするな。離婚後の惨状を知っているかッ―。  ジィージが知るかぎり、日本は世界一の民主主義国。
完全な民主主義国である。 だから何を言っても誰からも、なんの干渉も受けない。 誰とケンカをしても誰からもモンクをつけられることはない。 しかし、ここに一つだけ例外がある。 それは可愛い子供がいるのに夫婦喧嘩の末に離婚するということだ。
  ある婦人団体の会合に有名な高僧が講師として呼ばれた。 中に五十代の婦人が少しやつれ気味の顔で「お坊様、人生って一体なんなんですか―。 私は今、二十数年連れ添った夫とのあいだに、埋めようとして埋められない相性の悪さに離婚を考えています。 何か、ひと言、ご教授くださいませ。」と言った。
  聞いた高僧は、「ウーム」と言って沈黙した。 居並ぶ婦人連中は高僧がなんと答えるか―と、みな固唾を呑んで聞き耳を立てた。 「どうなんでしょうか」と、シビレをきらした質問者に、高僧はようやくひと言言った。 「ワシは今年で八十数歳だが、ものごころついてよりきょうまで、本当に一瞬じゃった」と。
  どんな答えが返ってくるか…と期待していたみんなは、「なんだこれ…?」と言わんばかりに落胆した。 「まあー、人生はいろいろあるから、あんたも苦労するねぇー」とか、 「そりゃー、ダンナが悪いわなぁー」ぐらいの、何か慰めの言葉の一つも聞けるかなぁーと思ってっていた主婦は、 あからさまに軽蔑の眼を高僧に返した。
  さて貴殿はこの答えをどのようにうけとられるかな…?。
  人生はカネさえあったら、それで良いのか…?。 東京海上日動あんしん生命保険の調査によると、長生きすることに備えてしておくべきだったこと…という質問に対し、 54.1%の人が節約・貯金と答え、健康管理やライフプランを立てておくが、それぞれ、33.2%と31.7%とあった。 つまり、なんじゃかんじゃと言ったってカネがなければ、この人生、ただの一日も暮らしていけない…ということ。
  それに人生は「いつまでもあると思うな親とカネ。ないと思うな運と災難」という言葉もある。「短気は損気」。 「待てば海路の日和あり」ともいわれる。ここは一番、辛抱し我慢することじゃないかな。 それこそ、かの高僧が言ったように、人生はほんとうに一瞬じゃからして…。 「なるカンニンは誰もする。ならぬ堪忍するが堪忍」ではござらぬかな、ご同輩。
  前途は必ず開ける。窮すれば必ず通じる。人生の要諦はこれだッ。

2010年12月 ジィージ亀石